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【建築士つぶやく】鉄骨造や木造の乾式外壁材のデザイン

建築士つぶやく 鉄骨造や木造の乾式外壁材のデザイン 図面制作スタッフ

建築構造種別の中で、鉄骨造や木造の外装材については、耐震構造上、揺れに追従する乾式の外壁材としなければなりません。RC造であれば、外壁自体が構造体であり、シームレスな面を構成することが容易ですが、鉄骨造や木造は、RCのような継ぎ目のない面を構成することが難しい構造となっています。そんな制限のある中でも、美しくシームレスな面と魅せるような工夫はいくつかありますので、紹介したいと思います。

 

 

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乾式外壁材の種類

まずは、乾式外壁材にどんな種類があり、それぞれどんな特徴があるか見ていきましょう。

建物規模に関わらず、幅広く使用される代表的なものは、ALC

公共建築から、発電所、道の駅、住宅まで非常に幅広く使用されています。ALCは断熱性、遮音性、耐久性、施工性、経済性が高く、実績も沢山あり信頼性もあり、非常に扱いやすい所が、幅広い用途で使われている理由ではないでしょうか。

ALCのデメリットとしては、意匠性とメンテナンス性です。600mmのパネル毎に目地がでてきます。その目地で地震の揺れに追従する構造となっているため、必ず必要となります。デザイン上、この目地をどう魅せるかがポイントとなってきます。また、ALCの耐久性は、表面保護のメンテナンスに左右されます。ALCはポーラスな構造で、表面保護材が劣化すると、水が染み込む構造となっていますので、長期に使用する場合は、必ず定期的なメンテナンスが必要となります。

 

その他の乾式外壁材

その他に、PC版、ECP(押出成形セメント板)、金属サイディング、窯業系サイディング、板張りがあります。全ての材に共通しているのは、工場で加工したものを現場で組み上げることです。また、地震時の揺れに追従するため、パネル毎に目地が必要となってきます。

 

中規模から小規模建物の外壁

建物規模が中規模(数千㎡程度)から住宅のような小規模な建物では、ECP(押出成形セメント板)、金属サイディング、窯業系サイディング、板張りが主流となっています。それは、建築に求められる耐風圧、耐火性、変形追従性等の要求性能がそれ程高くなく、商品のバリエーションが広く用意されているところからだと考えられます。これら、中規模から小規模に使用される乾式外壁ならではデザインとしては、金属サイディング(角波のデザインのもの等)や、板張りの場合は、材自体の細かく分節されたデザインにより、パネル毎の目地、継ぎ目が逆に目立ちにくくなり、大きな面として認識させるデザインも可能です。

更に、2階建てまでの低層で、1000㎡程度までの小規模な建築物であれば、地震や強風などによって強い力を受けたときの上下階に生ずる水平方向に対する変位を小さく出来る為、目地けしの工法(サイディングの大壁工法や、ALCのジョイントV工法等)を使用することで、シームレスな壁面を構成することも可能となります。

 

大規模建築物の乾式外壁

大規模建築物や超高層建築物等、建物の規模が大きくなってくると、建物に求められる耐風圧、耐火性、水密性等の要求性能が高くなり、サイディングや板張り等が使えなくなります。また、建物の地震や強風による水平方向に対する変位量はかなり大きくなり、それに追従しうる外装材の選定が必要となってきます。

そこで主流となってくるのは、PC版(プレキャストコンクリート版)です。PC版は、工場でコンクリートの外壁を製作し、現場でクレーンを使って吊り上げて組み上げていきます。PC版はコンクリートで造られ、下地を構造計算を行った金物で止付ける構造となっていますので、耐風圧、耐火性、変形追従性等の高い要求性能に対して、柔軟に対応することが出来ます。また、コンクリートの表面デザインは自由に製作することが出来ますので、意匠性に対しても十分対応できる外装材となります。

デメリットとしては、他の乾式外壁材に比べコストが高いことです。中規模から小規模の建築物にあまり採用されない理由は、全体の建築費に対してPC版にかかる費用のインパクトが大きすぎる為です。

 

乾式外壁材のデザイン事例

低層建物の乾式工法事例

 

低層の為、外装材の目地を消したデザインで、美しいシームレスな外壁面を構成しています。目地がないだけでなく、開口部も一部に絞り込むことで、美しい壁面が際立っています。

 

 

こちらの事例は、板張りで継ぎ目をあえて魅せる様に、段差をつけるディテールとし横方向のラインを強調することで、縦の継ぎ目が殆ど感じられず、大きな美しい一枚外壁に魅せるデザインです。1階部分にRCの無機質なものを組み合わせることで、木目がより美しく見える構成です。

 

中規模建物の乾式工法事例

 

ALCやECPのパネル割りを逆に前面にだし、色をランダムとすることで目地よりも、ランダムな壁面が一枚の外壁と認識させるようなデザインとなっています。

 

 

外装の乾式パネルを美しく割付、壁面とガラス面をメリハリをつける構成とすることで、乾式の目地がそれ程気にならないデザインとなっています。

 

大規模建物の乾式工法事例

 

外装材と、ルーバー部分にPC版を採用しています。超高層建物の要求される耐風圧、耐火性、変形追従性を成立させ、デザイン面でも柔軟に対応できる材です。

 

まとめ

鉄骨造や木造の外壁デザインについては、その建物へ要求される性能による制限や、地震や強風時の変形への追従性による制限により、美しいシームレスな外壁面をつくることが難しい中で、外装材の選定や、ディテールの工夫により、美しく魅せることも可能となります。また、それら制限によりデザインが導かれるものがあり、RC造とは違う開かれた、動きのあるデザインとなるような気がします。

 

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ニックネーム
one archi

現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。

自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

 

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