オフィスや商業施設などの中高層ビルのファサードは、その街の顔となり得るものです。建物用途、必要とされる機能、敷地や建物に適用される法規、地盤などによる技術的条件から導き出される建物ボリュームを、周辺環境の地にどのように馴染ませ、施設らしさをどのように表現するか。また、施設利用者にとって良質な室内環境を実現する自然の光、風をどのように導くか。課題や条件による建築的な解と、実用性を両立するデザインを実現しているものは、より美しく感じられます。
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周辺環境のデザインコードをビルのファサードに取り込む事例
木津川市庁舎/日建設計
木津川の流れを日射遮蔽の機能と合わせてルーバーの角度を調整することで、動きのあるデザインが実現されています。単純に並べられるルーバーとは異なり、角度を変えていくことで見え方にインパクトを与え、庁舎としての街の顔ともなっています。
岩見沢駅/ワークヴィジョンズ
鉄道の歴史や地域文化を象徴するレンガと古レールを外装に用いることにより、過去から未来へとまちの記憶を繋ぐ思いがファサードに反映されています。古レールは、窓サッシの構造材として使用され、内外からも存在感のある鉄道レールの歴史を感じることができます。単純にレールを使用するのではなく、鉄の利点を活かした構造材として蘇らせ、ガラスとの組み合わせにより美しく感じられるようにデザインされています。
施設イメージから導き出されるファサード事例
弁護士会館/日建設計
市民に開かれたイメージと、司法の一翼を担うシンボル性を煉瓦とガラスのマテリアルでファサードに表現しています。煉瓦の重厚なイメージは残しつつ、煉瓦から見透す透明感をガラスを組み合わせてデザインされています。美しいだけでなく、施設イメージをうまく表現しています。
木材会館/日建設計
木の魅力を示すランドマークとなることをコンセプトとした木材問屋組合のオフィスビルです。ビル建築では、法規や工法などの木材のハードルが非常に高いなかでも、特殊な木材を使用するのではなく、一般流通材での可能性を検証し、建物の構造材や外装材として木を積極的に使用している例です。木材の面白い所は、経年によって表情が変わって行くところです。新築時と10年後の表情は全くことなるところで、ヒトと同じように建築も年を重ねていい味を醸し出します。
中高層ビルのファサード
普段なんとなく見えるビル群ですが、周辺環境のデザインコードを読み取ったファサードや、施設イメージを表現しているものが沢山存在します。また、歴史を遡ることや、周辺の特色を読み取ること、施設を利用する企業の理念などからヒントを得てファサードに取り込むことが多くあります。美しいと感じられる中高層ビルは、それら環境や施設イメージの魂が注入されています。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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