内藤廣は、建築界では大御所で有名ではありますが、一般的にはあまり知られていない建築家です。安藤忠雄や隈研吾は業界外からも有名ではありますが、建築界には安藤忠雄や隈研吾に並ぶ知られていないスーパー建築家が何人も存在します。
今回は、そんな知られていないスーパー建築家『内藤廣』の建築の魅力について紹介します。
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内藤廣の建築シリーズ1『海の博物館』
建築家として登竜門となっている日本建築学会賞を受賞している『海の博物館』です。この海の博物館は内藤廣の初期作品として、有名でこの建物をきっかけに建築雑誌等にも登場するような建築界ではメジャーな存在となります。今や、国立競技場の審査員を務めるなど、日本を代表する建築家の内藤廣ですが、当時は無名の建築家でした。また、この海の博物館が設計されていた頃は、日本の高度成長期のバブルの頃で、建築業界でも次々に新しい造形が生み出され、コストを惜しまず新奇性によって差別化を図る動きがデザインの主流でした。
その当時に建てられた奇抜なデザインの建築は、メンテナンスに想定以上の費用がかかることからすでに解体されてしまったものも少なくありませんでしたが、そんな中でも、40年近く経過したこの海の博物館は劣化を感じさせないデザインで今も汚れを付け加えて尚美しく佇んでいます。この建物は、とにかくローコストで長期にわたりコストがかからないデザインを目指して造られ、それを実現しています。また、内部は木材がふんだんに使われた空間で、40年以上経過した今でも古びたデザインに感じません。
内藤廣の建築シリーズ2『とらや』
昨今の内藤廣作品は木を沢山つかったものが多くありますが、特にその木を使った日本的なデザインが建物用途にマッチしているものが和菓子店舗で有名な『とらや』の建物です。とらやは、室町時代後期に京都で創業した老舗和菓子店で日本の伝統的なイメージがあり、商業建築ではなく、日本の伝統家屋が似合うメーカーでもあります。和菓子から連想される日本的なイメージを木と鉄とコンクリートの建築材料を絶妙なバランスで組み上げて和の空間をつくり上げています。
特にとらや京都店、とらや赤坂店が木と鉄の組み合わせが美しく、都市でつくられた最新の技術を使って近代的な建築ではあるものの、日本の伝統建築を彷彿させる和の空間が造られています。
内藤廣の建築シリーズ3『駅舎』
内藤廣の建築作品は、公共的な建築が多くありますが、その中でも駅舎の建築設計が他の建築家にはない内藤廣らしさが表現されていると感じます。駅舎の建築設計については、最近では安藤忠雄や隈研吾のような有名建築家が駅舎を設計することが多くなってきましたが、一昔前までは、JRなどの半官半民のような組織が設計しており、経済性に重きをおいた当たり障りのないデザインが主流でした。
公共的な建築物の中でも、特に駅舎はその街の顔となる施設でもあります。街に愛され、ヒトを街に呼び込むような地域の特徴を表したデザインが望まれますが、内藤廣の駅舎建築は鉄とコンクリートで鉄道の力強さを表現し、地元の木材を使うことでその地域を表しています。建築家内藤廣は、木の使い方が上手で、安藤忠雄や隈研吾とは少し雰囲気が異なり、建築の派手さはありませんが、堅実であり機能的で、長期に渡り飽きないデザインを実現する建築家です。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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