天井は広く高く見せるために真っ白が多く採用されていますが、木を用いることで空間が優しく味わい深く感じられます。天井に木を採用しないことの方が多い理由として、コスト・法令制限が考えられます。たしかに、コストの観点だけでいうとクロスが最も安価にできますが、少しグレード感を上げたい場合は、木を天井に張ることでコスト以上の魅力付けができます。
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クロスと木天井のコスト的な比較
クロスの場合、下地に石膏ボードが必要となります。石膏ボードとクロスで約1,500円/㎡程度となります。一方、木天井の場合はピンキリとなります。木の樹種によっても大きく異なってきます。また、板の張り方でも大きくコストが変わってきます。日本の場合、杉が多く採用されていますので、杉を例に張り方別にそれぞれ算出してみます。
- 合板下地に羽目板張り・保護塗料の場合:約9,000円/㎡程度
- 合板下地なしでそのまま羽目板・保護塗料の場合:約8,000円/㎡程度
これをルーバー上に板を隙間を開けて張ることで、材の数量を減らすことができるので、例えば開口率60%程度の隙間を開けて張ることで、凡そ約5,000円/㎡程度。
更に、開口率60%程度で保護塗料も取りやめた場合は、凡そ4,000円/㎡程度まで抑えることが出来ます。ただ、やはりいくらコストを抑えてもクロスにはかないません。
木天井の法的制限
天井を木とする場合、法令的な内装制限をクリアする必要があります。まずは、法令上内装制限がかからないように居室の採光や排煙が確保される窓を計画するなどします。それでも法的に内装制限から逃れられない場合は、やむを得ず木材の不燃化を検討します。木材の不燃化をする場合、上記であげた金額は更に膨らむことになります。
木材の不燃化する場合、大きくは3つの方法があります。
- 薬液を注入して不燃認定木材とする
- 突板と不燃板の複合認定商品を使用する
- 不燃板(表面は木目プリント)とする
金額的には、1>2>3となりますが、見た目の印象も同順位で1>2>3と本当の木材が感じられるには、やはりコストがかかってくることになります。コストがかかりますが、木材を天井に使う場合は、やはり見た目の印象を重要視し1の薬液注入の不燃認定木材が最もよく使われる手法だと思います。
3の表面木目プリントの技術については、昔のものは明らかにプリント感がありましたが、最近のものは本物とほとんど分からない程度まで技術が進歩していますので、高い天井で殆ど分からない場合は有効かもしれません。
コストと意匠上の計画に合わせて、本物の木材で不燃処理をするのか、又は、プリント木とするのかを見極める必要があります。
また、薬液注入した不燃木は1点注意するところがあります。それは湿気をよく吸収してしまう性質があるところです。湿気の多い所で使用すると水と薬液が反応して白華現象がおこります。見た目が白くなり、最悪の場合薬液が液だれするときもありますので、湿気の多い場所では薬液注入の不燃木の使用は避けた方がよいと考えられます。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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