モルタルとコンクリート打放しの仕上げは、昔は「冷たいイメージ」や「現場の途中感」があり、あまり好んで使われていませんでした。それが今や商業建築だけでなく美術館や公共施設でも使われる場面も増え、戸建住宅でも抵抗感なく取り入れられるようになりました。なぜ最近モルタルやコンクリート打放しが好まれるようになったのか。
それは、以下の3点の理由が考えられます。
- 綺麗な空間に使われる場面に見慣れてきたから
- 建築家の影響
- バイオフィリックデザインに通じるところ
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綺麗な空間に使われる場面に見慣れてきたから
最近では、店舗などの商業施設だけでなく戸建住宅でもモルタルやコンクリート打放し仕上げを採用した綺麗な空間がSNSで見られます。少し前までは、ハウスメーカーの展示場での白いクロスやペンキなどの均一な仕上げが一般的で、モルタルやコンクリート打放しの仕上げはあまり見る機会が少なかったと思います。それがSNSの普及により、様々な戸建住宅の情報が簡単に入ってくるようになりました。SNSの影響は大きく、モルタルやコンクリート打放しを使った戸建住宅は割合的にはかなり少数派ですが、一度気に入って見ると関連された情報が勝手に入ってきます。
また、モルタルやコンクリート打放しをつかった空間はSNS上では映えるよう撮影されたものが出回りますので、非常に綺麗に見えます。SNSの普及により、綺麗な空間に使われる場面に見慣れてきたことが、モルタルやコンクリート打放しへの抵抗感を薄められています。
バイオフィリックデザインに通じるところ
バイオフィリックデザインとは、「人間の本能的な自然と結びつきたい」という欲求を満たす要素を建築物に取り入れたデザイン手法です。自然なものとの繋がりを考慮した代表的なものは、建築に緑化を取り入れることや木材を多様することで、本能的に心地よい空間とすることを目指します。モルタルやコンクリート打放しも、このバイオフィリックデザインに通じるところがあります。
自然界の空、海、川、植物はすべて均一なものではなく、不均質なゆらぎをもっています。モルタルやコンクリート打放しは、人の意図しないゆらぎのある表情となります。それは、その現場での湿度や温度、現場での水の質などにより、不均質な表情が生まれます。このゆらぎある表情が自然界のゆらぎに近いものがあり、魅力的に見えているものと考えられます。
建築家の影響
安藤忠雄をはじめとする建築家が、コンクリート打放しを使った作品が日本だけでなく海外でも賞を受賞するようになり、建築家の認知度が大きく変わってきたこともあります。建築家の多くは、木やコンクリートなどの自然に近い素材を好みます。モルタルやコンクリート打放し表面は均一でなく、それぞれ違った豊かな表情をつくり出すことろも建築家が好む理由の1つだと思います。
そんな建築家がつくる空間には、モルタルやコンクリート打放しが採用される場面が多く、その影響をうけ、昨今では、ハウスメーカーの住宅にも、一部の壁面や床材にモルタルやコンクリート打放しを採用される場面が見受けられるようになりました。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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