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建築物の高さ制限、斜線制限5つの分類と計算方法

間取図記号の意味

高さ制限とは、建築基準法において、ある地区や地域の建築物の高さの最高限度のことを言います。

新しい建物が建つとその建物の周囲の道路、周辺の敷地では日照、通風、景観などが阻害され、環境が悪化します。よってこのような環境の悪化を抑制するために建物の高さを制限することで、その計画されている建物の周囲の敷地、建物、道路に支障をできる限り少なくしているのです。建物は敷地の境界線付近にあればあるほど周囲への影響が大きくなるため、敷地境界線から離れれば離れるほど建物の高さを高くすることができます。

ただ、高くできる限度も制限されているため、どのように制限されているのか具体的に説明をしていきます。

 

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高さ制限の分類

高さ制限は、建物の高さを制限する規定で、主に5つに分類されます。絶対高さ制限は、主に低層住居専用地域に適用され、高さが10mまたは12m以下に制限されます。斜線制限は、日照や景観を守るため、道路や隣地境界から一定の角度で制限するもので、道路斜線・隣地斜線・北側斜線の3種類があります。高度地区による制限は、地域の特性に応じた高さ制限を定めるもので、都市計画で指定されることが多いです。これらの規制により、安全性や住環境の保全が図られます。

  1. 絶対高さ制限
  2. 道路斜線制限
  3. 隣地斜線制限
  4. 北側斜線制限
  5. 高度地区

 

絶対高さ制限

絶対高さ制限は、地盤面(GL)から一番高いところまでの高さを規制します。

高さを規制する地域には、都市計画で定める用途地域は

「第一種低層住居専用地域」
「第二種低層住居専用地域」
「田園住居地域」

上記3つの地域の建築物の高さを10m又は12m以下にするよう定められています。制限を定める目的は、そもそも用途地域が示す低層住居の住環境を保護する地域であるため、具体的には日照や通風がその地域の住居に対して確保できるようにするためです。高さを制限しているということで、およそ3階程度までの建物が建ち並んでいる地域としています。この地域では絶対高さ制限が設けられているので「隣地斜線制限」の規定はありません。道路斜線制限、北側斜線制限は適用されます。

なお、一部例外があり、建物の敷地の周囲に広い公園や広場、道路、空き地等があったり、学校などの用途によってやむを得ないと判断される場合に特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可した場合は緩和措置が受けられます。

 

道路斜線制限

道路斜線制限とは、敷地境界線が道路に接している場合に適用される制限です。

その敷地が道路に面している場合は道路にも配慮する必要があります。道路の日照や採光、通風が最低限確保され閉鎖的な空間としないように建物の高さを制限します。また、道路だけでなく道路の反対側の敷地や周辺の建物の日照や採光、通風が確保されるようにすることを目的としています。このように敷地の反対側の道路境界線からの斜線をいいます。

斜線の勾配角度

  • 住宅系の用途地域   = 1:1.25
  • 住宅系以外の用途地域 = 1:1.5

この斜線の中に建物高さを抑えなければなりません。また「適用距離」があり、用途地域や指定容積率により距離が決まります。敷地の反対側の道路境界線からの距離です。これは昭和62年にルール化されました。それを超える範囲にある建物に関しては高さの制限はありません。道路からの建物の距離が一定以上離隔があれば道路に対する影響が少なくなるので道路斜線の制限を受けません。

適用距離についての詳細は下記表にまとめてみました。

適用距離の詳細

適用距離の詳細

 

隣地斜線制限

都市部では建物が所狭しと建ち並んでいます。建物と建物の距離があまりにも近い場合、日照や採光、通風等が確保することが難しくなり人々が居住する環境が悪くなります。隣地斜線制限とは、このような居住空間の環境が悪化しないように建物の高さを規制することで良好な環境を維持するルールです。

具体的には

① 隣地境界線から一定の高さをとり、その高さから一定の勾配で記された斜線が隣地斜線。
住居系 :基準高さ20m
非住居系:基準高さ31m
② 第一種低層住居専用地域や第二種低層住居専用地域及び田園住居地域は絶対高さ制限で高さが制限されているため隣地斜線制限は適用されない。
③ 住居系の地域と非住居系の地域の勾配角度に違いがある。
住居系 :1:1.25
非住居系:1:2.5

この隣地斜線の内側に建物を建築する必要があります。

ちなみに「住居系地域」とは

住居系地域
・第1種低層住居専用地域
・第2種低層住居専用地域
・田園住居地域
・第1種中高層住居専用地域
・第2種中高層住居専用地域
・第1種住居地域
・第2種住居地域
・準住居地域

この住居系地域のうち隣地斜線制限に適用されないのが以下の3つの地域です。

第1種低層住居専用地域・第2種低層住居専用地域・田園住居地域

そして「非住居系地域」とは以下5つです。

非住居系地域
・近隣商業地域
・商業地域
・準工業地域
・工業地域
・工業専用地域

 

北側斜線制限

北側斜線制限とは、北側にある隣地の日照、採光を確保するために高さを制限する法律です。

例えば、自分が所有している住宅の敷地の南側で高い建物が建ったとします。その影響で南側の日照や採光、通風が確保されなくなり住環境が悪化したらどうしますか?日照や採光、だけでなく圧迫感もあり開放的な空間であった環境が阻害されてしまいます。このように、物理的にも精神的にも悪化する環境を抑制するために北側の隣地にある建物の高さを制限します。

北側斜線の適用地域 
〇第1種低層住居専用地域
〇第2種低層住居専用地域
〇第1種中高層住居専用地域
〇第2種中高層住居専用地域

この住宅系の4地域に適用されます。ただ絶対高さ制限がある、

〇第1種低層住居専用地域
〇第2種低層住居専用地域

に関しては 最高高さを10m又は12mまでにする必要があります

 

高さの算定の方法

〇第1、2種低層住居専用地域
北側の隣地境界線上で垂直に5mの高さをとりそこから「1.25/1」の勾配をとります。その勾配の斜線が「北側斜線」です。その斜線の内側に建物高さを納める必要があります。また、絶対高さが適用されるので「北側斜線かつ10m or 12m」の高さまでに制限されます。また「日影規制」も適用されるので、軒高が7m超で地上3階建て以上の建物は「日影規制」によっても制限されますので注意が必要です。

〇第1、2中高層住居専用地域
北側の隣地境界線上で垂直に10mの高さをとりそこから「1.25/1」の勾配をとります。その勾配の斜線が「北側斜線」です。また「日影規制」も適用されるので、高さ10m超の建物は制限されますので注意が必要です。

高さの算定の方法

高さの算定の方法

 

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