本記事では、建築(建物)の面積の考え方や求め方について建築基準法を基に解説します。延床面積(建物面積)や建築面積は、建築基準法に記載される建物面積の呼び名です。それぞれの面積がどこの面積を示しているのかを意識すると共に、面積として数えない部分があることに留意して、読み進めて頂ければと思います。
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建築基準法による床面積とは
まず、建築の面積を計算する上で、その計算は建物の何処を計算するのかを整理します。
建築基準法施行令 第2条第1項三号に、建築の床面積が定義されています。
抜粋すると、
「各階又はその一部で壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積による。」
とされており、言い換えると、面積は壁の中心線で計算する、つまり「壁芯面積」により求めることとされています。
延床面積(建物面積)や建築面積は、壁の中心線からとなる「壁芯面積」で算定しましょう。
延床面積(建物面積)とは
延床面積(のべゆかめんせき)と建物面積は同じ意味で使用されることが多いですが、建築基準法上は、「延べ面積」という記載が正しい言葉となります。延床面積や建物面積は、同じ意味ではあるものの、あくまで「呼び名」です。
建築基準法施行令 第2条第1項四号の法文を抜粋すると、
「建築物の各階の床面積の合計による。」
とされており、階ごとの床面積の合計値が延べ面積となります。
例えば、1階床面積が20㎡、2階床面積が20㎡の場合、合計の40㎡が「延べ面積」となります。
但し、延べ面積には、エレベーターの昇降路等、床面積として算定しない部分があります。
延べ面積は、敷地内にどれだけの規模の建物を建築することができるかの基準となる「容積率」と大きく関係しています。
詳細は、別記事にて解説します。
建築面積とは
建築面積とは、建物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分の水平投影面積と定義されています。
延べ面積と同様に、「壁芯面積」で算定します。建物が敷地に建っている部分の面積を算定しますが、例えば参考画像にように、1階部分は敷地に直接外壁がなくても、2階部分が跳ね出して存在している場合には2階部分の壁芯が「建築面積」に算定されます。
ですので、参考画像はどちらも4m×5mで20㎡の建築面積となります。敷地を空から見下ろした場合に、建物の外壁が存在している範囲が建築面積となるということです。
建築面積と建蔽率(けんぺいりつ)
敷地面積に対する建築面積の割合を「建蔽率(けんぺいりつ)」といい、地域毎に建蔽率が定められています。
ある敷地の中に、建物としてどれくらいの割合を建設して良いかを定めることで、街の中の「空地」を守っているとも言い換えられます。建蔽率を地域の基準に適合させる為に、建築面積がどれくらいになるのかを計算する必要があり、「建築面積」という定義が法文で定められているのです。
建築面積に含まれない部分とは
「建築面積」にも、「延べ面積」と同様に、床面積として算定しない場合があります。
建物の外壁又はこれに代わる柱の中心線で囲まれた部分が建築面積に該当しますので、例えばバルコニー(ベランダ)や玄関の庇等が外壁から跳ね出している場合、外壁やそれに代わる柱とみなされず、建築面積には算定されません。
但し、バルコニーや庇の大きさを幾らでも大きくできるかというと、そうではありません。跳ね出している部分が1m以上ある場合、その跳ね出している部分の先端から1mまでの部分が建築面積には算定されないこととなっています。
(建築基準法施行令 第2条第1項二号)
また、バルコニーの横に壁がある場合や、バルコニーの下を柱で支えている場合等には、建築面積に算定されてしまいますので、注意が必要です。
少し専門的に言い換えると、跳ね出している部分が、建築物の構造体に関係する別の要素(壁、柱、屋根版や横架材等)でバルコニーの自重を支えている他、バルコニー下に用途が発生する計画となっている場合等は、バルコニーの1m緩和は適応できないケースが多いです。
実際の建物は、イラスト程に簡易な計画ではない為、例えば、平5建告第1437号「開放性の高い建築物の建築面積の取り扱い」によって、より専門的な詳細の扱いを参考にしたりします。
それでも、建物の計画によっては建築面積に参入するか否かの判断が難しい場合もあり、建物を建てる場合の法律チェック機関である、指定審査機関等に問い合わせることもしばしばです。
これって建築面積に参入するの?
因みに、建築基準法では、屋根及び柱若しくは壁を有するものが建築物として定められています。建築面積は、建築物に該当する部分の面積ですので、戸建て住宅にあるような屋根付き駐車場(カーポート)も、建築面積に算定されます。
但し、バルコニーと同じように、1mの緩和規制があります。
逆に、住宅の庭を中庭として計画しているような場合、家の中心等にあり、床の材料も室内と連続的に計画することもありますので、室内環境と同じ様に感じますが、屋根で覆わない以上、そこに建築面積は発生しません。
「延べ面積」や「建築面積」「は言葉では簡単に理解できるものの、実際の建物が複雑になればなる程、どこが算定されてどこが算定されないのか、判断が難しい場合もあるので、注意が必要です。