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【建築士つぶやく】コーナー部の性能面や経済性、施工性等を考慮したデザイン手法

図面制作スタッフ

コーナー部を見ると、その建築の設計者のこだわりが感じられます。外壁仕様やキッチン等の設備機器等については、施主の要望や、施主とのコミュニケーションの中で性能面や経済性等を検討しながら決定されていきますが、コーナー部のデザインについては、戸建て住宅、ビル建築に限らず、施主の思いが介在せず設計者の意図により決定してくことが殆どです。こだわらなければ、その部材の標準的なコーナー部の作り方となりますが、とことんこだわり、その建築のモジュールやプロポーション等全てが整合する建築が実現すると、唯一無二の美しい建築となります

 

 

ただし、モジュールやプロポーションが破綻することもあり、こだわって作ったにも関わらず、逆に残念デザインになることもある、設計者にとって、非常に難易度の高い部分でもあります。施主には理解されてないところで、非常に労力のかかる部分でもあるため、特にこだわらず単純な四角の建物で標準的なコーナー部とすることが設計者としては最も効率的です。ただし、美しくしたい思いが強い設計者は多いのでわざわざ時間をかけコーナー部を検討しています。そんなコーナー部のデザインは、性能面や経済性、施工性等を考慮した上で、いくつかのデザイン手法に分けられます。

 

 

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和えるコーナー部

 

板張りの外装によく見られます。異なる面の連続性も感じられ、コーナーの存在感もあります。また、板張りの場合は木材の断面が意匠として感じられます。特に、板を横張りするな水平ラインが強調される場合に、それぞれ異なる面で連続してきた水平線をそのまま次の面まで連続して馴染ませたい時に有効です。

 

かぶせる

 

コーナー部の見せ方としては、最もポピュラーな手法で、異なる面で角度をつけて隣り合う材同士のクリアランスを確保するための隙間を美しく隠すためにコーナー材でかぶせる手法です。

 

 

このコーナー材となるものを美しく見せるよう、壁面と面を合わせたり、逆にあえて大きくかぶせるデザインもあります。大きくかぶせ、ガラス等の異なる材との取り合いもスムーズに見せることで、よりデザイン性の高いコーナー部が実現します。

 

透かす

 

コーナー部分を凹ませて透かすことで、デザインしている面を際立たせる手法です。面が際立つことで、コーナーの存在感が消えるだけでなく、大きなボリュームを美しく分節し軽快に見せてくれてます。

 

 

スケールの小さな家具等は、コーナー部を透かすとシンプル度が増して見えます。

 

連続させる

 
コーナー部を円弧状になだらかに連続させることで仕上げの切り替えや、見切りのない壁面が出来上がります。角ができると、異なる面の取り合いを見切る必要がありますが、円弧状にカーブすることでシームレスで美しいな壁面が実現します。

 

 

ルーバー外皮の場合、どうしてもコーナー部で向きを変えるための見切り材を入れてデザインする場合が多いですが、このように円弧状にコーナーを構成することで、ルーバーの向き変えることなくスムーズに連続させることができます。

 

ずらす

 

上下左右等、壁面をずらすことで、柱や梁等の存在感が消え、浮遊感や開放感が感じられるデザインにすることが出来ます。

 

 

また、パネル割等で規則性のある面で構成された壁面がコーナー部で見切られる場合、あえて目地をずらして変化を与えることで、逆にコーナーの連続性が感じられます。

 

まとめ

コーナー部は、施主の知らないところで設計者が勝手に悩み、その建築が必要とされる性能を満足させた上で最も美しい意匠を成立させることを考えています。建築の内外に関わらず、コーナーとなる部分は至る所で存在し、それぞれ意図を持ってデザインされています。

 

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ニックネーム
one archi

現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。

自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。

 

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