フローリングは木のやさしい素朴な雰囲気を、その空間にダイレクトに反映してくれる魅力的な素材です。種類・色の選定により、その空間の雰囲気を大きくかえることも出来る素材で、今や住宅に限らず、学校や商業建築、最近では庁舎などの公共建築物にもフローリングは採用されつつあります。
今までは、耐久性の観点より、公共建築物にはフローリングの採用は少なかったですが、平成22年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」制定され、公共建築物にも積極的に木材の利用が広まったことがあります。公共建築物では、見た目のデザインだけでなく、耐久性や防滑性などの必要性能の制限の多いなかでのフローリングの検討を行う必要がありますが、それでも使用することのインテリアに与える視覚的な影響が大きいこともあり、採用される例が多くなってきております。
本記事では、そんな公共建築物でも採用される床材の一つであるフローリングについて、材の種類、メリット、デメリット、選び方、その魅力について解説していきます。
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フローリングとその他床材の種類
住宅の内装床材としては、フローリングが代表的なものとなりますが、フローリングにもいくつか種類があり、フローリング以外にも住宅で使われる床材は求められる性能やデザインによって様々です。
フローリング種類
フローリングの種類は大きくわけて3種類あります。
2.無垢フローリング(集成材タイプ)
3.複合フローリング
1.無垢フローリング(製材タイプ)
無垢フローリング(製材タイプ)は、建築家が最も好んで採用するフローリングです。無垢フローリング(製材タイプ)は一枚のフローリングを、継ぎ足さず、重ねない、本当に無垢のままの木材で作り上げるタイプです。
もっとも木のやさしさを感じることができ、経年劣化により、時間が経過すればするほど味わいが増していく材です。ただし、無垢の木材を使っていますので、温度や湿気による材の変形が起こります。採用する際は、その変形も味わいの一つとして許容することが重要です。
2.無垢フローリング(集成材タイプ)
無垢フローリング(集成材タイプ)は、フローリング1枚の中で、縦・横と両方に材が継がれてできています。フローリングの厚みは無垢のままですので、木のやさしい素朴の雰囲気は十分感じられる材でありながらも、集成材とすることで材の安定性も高まり、温度や湿気に対する変形は抑えることができます。
3.複合フローリング
複合フローリングは、厚み方向に合板を複数重ね合わせて下地をつくり、その上に天然材やシートを張り合わせたフローリングのことをしめします。表面に張り合わせる素材によって、大きく雰囲気も異なりますが無垢フローリングに比べてリーズナブルな所が特徴です。
また、温度や湿度に対する影響もうけない所もメリットの一つです。したがって床暖房をする場合は、温度に影響を受けにくい複合フローリングが向いています。ただし、表面材が痛むと下地の合板が見えてくることになり、無垢材のような経年劣化を楽しむような材にはなりません。
その他床材の種類
フローリング以外に住宅で使われる木調の床仕上げ材としては、
・木調タイル
・コルクタイル
などがあります。
すべて、「木調」で本物の木ではありませんので無垢フローリングや複合フローリングの雰囲気とは異なります。ただし、最近の加工技術力の向上により見た目は殆ど分からない程の商品まで出てきています。
また、木目以外の床仕上げとして一般的によく使われる材としては、
・畳
・塩ビシート
・塩ビタイル
・磁器質タイル
・炻器質タイル
・石
・塗床
・ゴムチップ
など、沢山種類が、それぞれ耐久性や耐水性、防滑性、経済性など特徴がありますので、使用する室や、用途によって最も適した材を選択することが重要です。
たとえば、雰囲気が好みだからと、水周りでフローリングやカーペットを採用すると、すぐに劣化することが考えられます。水周りには、水に強いタイルや石、塩ビシートなどを採用し、長期にわたり使用できる材の選定が重要です。
フローリングのメリット、デメリット、選び方
それでは、フローリングのメリット、デメリット、選び方について簡単にまとめてみましょう。
フローリングのメリット
フローリングは、カーペットや畳に比べると、ほこりや汚れが繊維に入り込んでしまうことがないので、掃除がしやすい材料です。床に水をこぼしてしまったり、子供たちの食べこぼしなどで床が汚れてしまった場合も、掃除に手間がかからないという点もメリットの一つではないでしょうか。また、ほこりや汚れが繊維に入り込まないため、ダニが発生しにくい状態を保つことが出来ます。
なによりも、カーペットや塩ビシートなどの人口的なモノに比べると木のやさしい素朴な雰囲気を感じられる所が一番のメリットとなります。
フローリングのデメリット
フローリングは採用する材によって、木の硬さがことなります。木の硬さが強ければ強いほど、傷つきにくく、耐久性が高まることにつながりますが、素足で歩く場合には、やや硬く感じます。杉材などの柔らかい樹種を選定すると、素足で歩いた時やさしい感じがしますが、その分傷つきやすいことになります。また、木材ですので基本的には水に弱い性質になります。水周りで水分がかかる可能性のある場所へ使用すると、経年劣化がそこだけ進むことになります。
フローリングの選び方
フローリングは木のやさしい雰囲気を空間に与えてくれるメリットがあり、水気に弱い性質がありますので、住宅での使用部位としては、リビング、子供部屋、寝室に向いている材と言えます。また、フローリング材の選び方としては、家族構成や生活様式によって少し異なります。基本的に家の中で居る時はスリッパで生活するスタイルの方や、小さなお子様がいない家族であれば、耐久性の高い硬いフローリング(チークやオーク、ウォールナット)が合っています。硬いフローリングは一般的には色も濃いものが多く、インテリアとしてはシックな雰囲気に馴染みます。
かたや、素足で生活するスタイルや、小さな子供がいる家族であれば、硬いフローリングよりも、杉や檜などの比較的柔らかいフローリングが合っています。杉や檜などの比較的柔らかいフローリングは、比較的淡い色をしているものが多く、インテリアの雰囲気も明るくなります。
木のやさしさを感じさせてくれるフローリングの魅力
床材は、適材適所で必要とされる機能を満たすよう使い分ける必要がありますが、水周り以外では、フローリングはインテリアにやさしい雰囲気を与えてくれる万能な材となります。
また、自然素材の木がそのまま表れることもあり、左官壁やレンガなどの土で出来た壁にも非常に相性がよく合います。
木の素朴な雰囲気は、使えば使うほど、その家族と一緒に成熟していきます。また、多少の傷や汚れを許容すれば経年劣化も楽しめる非常に魅力的な材料で、長期にわたり使用出来る材料です。なによりも、長く使いこみ、いつまでも木のやさしさを感じさせてくれるところがフローリングの一番の魅力ではないでしょうか。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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