低い天井はなんとなく落ち着く感じがします。洞窟や秘密基地のような、少し薄暗く閉じこもった感じが心地よく感じるのかもしれません。これは日本の古くからある軒の深い伝統的な建築にも通じるところがあり、日本人は天井が低く薄暗い空間に馴染みがあることから、心地よいと感じるのだと思います。
ただし、無条件に低ければよいという物でもなく以下の2つのポイントで低い天井が心地よく感じるのだと思います。
- 低い天井の横長プロポーション
- 低い天井や壁面には徹底して何もつけない
※このサイトは広告が含まれております。リンク先の他社サイトにてお買い求めの商品、サービス等について一切の責任を負いません。
低い天井の横長プロポーション
少し前までは、天井を高くする、吹抜けをつくるなどすれば、開放的で心地よい空間ができると大手ハウスメーカーはこぞって大空間のリビングを提案していました。実は、単に高い天井だけでは、そんなに心地よい空間にはなりません。高い天井や、吹抜けをつくる時も一部低い天井を織り交ぜながら美しい縦横比のプロポーションとなるように計画する必要があります。
住宅スケールですと、吹抜けをつくると横幅に対して縦のスケールの方が大きくなるプロポーションとなります。これでは、馴染みのない空間でインパクトは与えることは出来ますが、住居としての落ちつきからは少し離れた空間となります。椅子に座ってゆったりくつろぐ空間は、横に長いプロポーションが落ち着きます。そのため、むやみに天井は高くせず、出来る限り天井高さを抑え横の広がりを感じられる落ち着いた空間が日本人には馴染みがよいと感じます。
インパクトを与え、開放的な気分を味わいたいときは吹抜けは適しています。ただし、落ち着きたいときは、横長のプロポーションとなるよう、一部天井の低い部分をつくり、光と影を操作することで、吹抜けのある空間も横長のプロポーションに感じるように計画することも可能です。
低い天井や壁面には徹底して何もつけない
もう一つの低い天井を心地よく感じさせるポイントは、天井や壁面には余計なノイズとなるものは付けず、綺麗な天井面・壁面を残してあげることです。天井面や壁面には、照明、換気扇、エアコン、スイッチなど、様々な設備類が必要とされます。設備類などのノイズを天井面や壁面から徹底的に排除することで、洞窟や秘密基地的な圧倒的な落ち着き感が生まれます。
低い天井の心地よさの秘訣
低い天井の心地よさの秘訣は、出来る限り天井高さを抑え、横に広がるプロポーションとなるように心がけ、天井面・壁面を徹底的にノイズを取り払うことです。日本の軒の深い伝統的な建築も同様に、縁側の天井高さは低く抑えられ、横に広がるプロポーションから、庭園の緑を感じられ、天井は壁面は土壁や板張りなどの自然素材以外は何もない美しい天井面・壁面が構成されています。
心地よい低い天井は、日本人の馴染みある落ち着いた空間でもあるのです。
建築士つぶやくの記事一覧
※タップで各記事ページが開きます。
one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
人気記事建築学生に読んでほしいおすすめ建築・インテリア雑誌10選
人気記事センスを磨けるインテリア本おすすめ人気ランキング10選
人気記事建築学生に人気のおすすめ本ランキング10選
人気記事建築学科志望の高校生におすすめする読んでほしい本ランキング10選
間取図大好きな貴方への一冊!
職工所スタッフ厳選のよく売れている間取図の本を集めてみました。下の記事では、専門性や参考度などをランキング化(★5つ)して紹介。「 間取り図の本おすすめ人気ランキング15選 」も参考に‼
↓タップしてAmazonで確認する↓