住宅や商業施設、公共建築に限らず、低層で横方向への広がりが感じられるプロポーションとなりうる平屋の建築は、どこか親近感がわいてきます。特に住宅建築では、昨今の働き改革によるテレワークの導入や、フリーランスへの転身等により郊外へ移り住み、敷地面積に余裕のる戸建を建築する動きも見受けられます。都心部では実現が難しかった平屋は、郊外では十分検討可能となり平屋が増えてきているのではないかと考えられます。
なぜ平屋が人気なのか、平屋の特徴について解説していきたいと思います。
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平屋のプロポーション
一般的な住宅は、2階建て若しくは3階建ての30坪から40坪程度が多く建てられています。例えば2階建て30坪であれば、15坪の2層となり、凡そ7m×7mの平面に対して、高さ方向に7m程度のプロポーションとなります。方や、平屋の30坪であれば10m×10mの平面に対して高さ方向3m程度のプロポーションとなります。
2階建ては、正面から見ると正方形に近しいプロポーションに対して、平屋は横方向に長い長方形のプロポーションになります。この横方向に長いプロポーションが大らかに見え、美しく感じられる所でもあります。建物重心が低くなることで、耐震性能も向上し、安定感も感じられ、庇の低さも人のスケール感に近くなり安心感も感じられる建築となります。
平屋はバリアフリー面でも有利
子供が小さい頃の若い間は、2階や3階への階段移動はまったく苦にならないと思いますが、子供が出ていった後の老後の体には階段移動の負担が大きく、2階や3階部分の部屋は殆ど使われなくなります。平屋の場合は、子供が出ていった後の老後に、平面的な余裕が出てきますので、トイレやお風呂等の水周りを広く確保することで、車椅子対応や、介護への負担軽減の為のバリアフリー改修が容易にすることが可能となります。
平屋のコストメリット
平屋は割高いイメージがあると思います。確かに坪単価は高くなります。建築コストの中でも、高い割合を占める屋根工事と基礎工事ですが、床面積に対して、階数が多ければ多いほど、坪単価に占める割合が薄まりますので、上階へ建物を積み上げるほど、坪単価は安くなる傾向があります。
ただし、そもそも建築の総面積を減らすことが出来れば、坪単価が高くとも、建築総費用は抑えることが出来ます。平屋は、上下階への移動空間が不要となり階段部分の面積をなくす事が可能です。また、リビングを中心とした廊下をなくしたプランも可能で、2階建てや3階建てに比べて総面積を小さく抑えることで、建築総費用を抑えて建築することが出来ます。また、将来のメンテナンスについても平屋は有効となります。
建物のメンテナンス費用の中でも高額な外装のメンテナンスですが、一般的な2階建ての建物の場合は、建物周囲に全面足場を設置して、塗装や防水を行います。一方、平屋の場合は建物高さが低く抑えられている為、脚立でメンテナンスが可能となりますので、メンテナンス時の足場費用を大きく削減することが可能となります。
まとめ
平屋は敷地面積の制限を受け、割高で、ハードルが高いイメージがありますが、プラン上の工夫により、建物面積を小さく出来、総建築費用を抑えて建築することも可能です。美しいプロポーションや、効率的な動線、バリアフリー対応等、平屋には沢山の魅力がありますので、新築する際は是非検討の一つに入れて見てはいかがでしょうか。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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