柱を建てたり、レンガを積み上げたりと、重力に逆らいながら垂直に空間を造る建築ですが、自然界には、建築物のような垂直、水平のラインだけでなく曲面のものが沢山存在します。
例えば、雲や木の葉、波、水面など自然界の中には美しい曲線を描いたものが沢山あり、これらをモチーフに造られる建築も沢山あります。施工性や経済性を考えると、垂直、水平に組み上げていくことが最も効率はよくなるはずですが、あえて曲線を用いて建築が造られる場面もあります。それは自然界からヒントを得て、四角い建築に比べ柔らかい印象を与える効果があるだけでなく、構造力学的にも効率的な場合もあるからです。
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曲線を用いた建築の構造
建築は、建物を支える為の柱や梁・壁・屋根などにかかる荷重に対して、構造計算によって安全性を確認することとなっています。重力により生じる荷重や、地震や台風などによって生じる横からのチカラに対して、その建築に必要な耐力を求める際に、柱・梁などの構造体にどのようにチカラが流れていくかを計算します。そのチカラの流れが地面に対して垂直、水平であれば計算式はシンプルに考えることが出来るのですが、曲面となると一気に難易度が高くなり、計算式が複雑となってきます。
ただし、チカラの流れは直角に交わる柱・梁に比べ、曲線により連続する柱・梁の方がチカラはスムーズに流れる場合があり、構造力学上は効率的な場合があります。構造力学上効率的となれば、柱や梁の断面寸法を小さく抑えることができ、スレンダーな構造体になり、より柔らかな印象を与えることに繋がります。分かりやすい例ですと、卵型の構造体があります。卵の殻は非常に薄いもので造られていますが、外からチカラが加わっても殻全体にチカラが分散され、チカラが集中的にかからない効率的なカタチとなっています。
これらをヒントに造られたクルマの車両などもあります。建築も同様にこの卵のカタチのようなチカラを全体で逃がしていく工法によりデザインされたものも多く存在します。
曲線を用いた建築事例
3つの建築事例を見てみましょう。
構造体自体を曲面でつくる建築
これはアートに近い造形で、街のシンボルとなるような建築です。
卵型のシェル構造で世界的にも有名な建築
シドニーのオペラハウスで、湾に突き出した岬の先端に建つロケーションでヨットの帆をイメージして造られたと言われています。
インテリアに曲線をつかう事例
建物自体を曲面にすることは経済性の観点よりハードルが高くなりますが、インテリアの天井材で表現するのは、それほどコストアップとならずに印象を変えることが出来るので、コストパフォーマンスとしては高い使われ方です。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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