京町家のデザインは、伝統的な和のデザイン要素だけでなく、プライバシーや防犯性への配慮、内で暮らす家族の住環境についても先人の知恵が詰め込まれたものです。昨今特に、環境面への関心も高く、建築のサスティナブル(持続可能な)デザインへの対応も注目されつつあります。そんなサスティナブル(持続可能な)デザインに通じる京町家の魅力について掘り下げて見ていきたいと思います。
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サスティナブル(持続可能な)デザインとは
サステナブルデザインとは、人類や地球環境が持つ能力を維持し、向上させることで、1989年に発足した国際組織「ナチュラル・ステップ(the Natural Step)」に影響を受けてつくられたものです。
主に環境に与える影響が大きいと言われる「住まい・建築」に用いられていましたが、その考え方は食品やファッションをはじめ、次第にデザインの全領域へ広がって来ています。建築のサスティナブルデザインは、基本的には再利用可能なものを使いながら長く使い、持続可能な建築を作り上げるという考え方です。一般的には、古材の再利用やリサイクル製品の利用、断熱性能の向上による省エネ性の高い住宅などが考えられます。
サスティナブルデザインに通じる京町家のデザイン
江戸時代中期に完成したと言われる京町家ですが、現在のサスティナブルデザインの考え方に通じる所があります。それは、京町家の建築材料は、自然界の材料だけを使用して作られているところで、それは、植物のサイクルに合わせて、それぞれの部品を交換できるように工夫していたということです。
具体的には、主に、藁・竹・木・土で京町家は造られています。藁は1年で育つので、1年ごとに交換できる材として断熱材や床材に使用します。竹は、3年程度で育ちますので、犬矢来(いぬやらい)などの3年程度で交換できる部分に使用します。木は育つのに数十年かかりますので、なかなか交換しなくてよい外壁や格子などに使用します。また、使い切ったそれらの自然界の素材は、処分するときもかまどの燃料して利用し、灰は農家の肥料として利用します。自然の循環に呼応するように、建築材料が選定された現在のサスティナブルデザインに通じる考え方です。
環境面への配慮も先人の知恵が活かされている京町家
京町家は持続可能なデザインとして、自然界の材料が利用されるだけでなく、光や風、空気などの住環境面への配慮も先人の知恵が活かされています。小さな坪庭に植物を植えることで、光合成により建物内に新鮮空気を循環させます。また、小さな坪庭と室内の気圧差を利用した気流を発生させ、プライバシーや防犯に配慮された表の通りに面した格子により気流のスピードが調整され、心地よい風を室内に取り込むことが出来ます。
また、室内は土や木や紙などの自然界の材料を使用することで、湿度調整機能も非常に優れています。1年を通して湿度を約50%程度に保ち、過ごしやすい室内環境を作り上げています。
サスティナブルデザインだけでなく、住環境面にも優しい京町家のデザイン
京町家の建築は、先人たちが代々積み上げてきた知恵が詰め込まれたデザインです。現在のサスティナブルデザインにも通じる考え方で、住環境にも配慮された建築です。自然界のものを、自然界のサイクルに合わせて利用し、長く快適に使える建築、それが京町家のサスティナブルデザインです。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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