スロープは、段差のある部分に対して車椅子での移動を円滑にするための傾斜した床面としてバリアフリーの観点で建築に組み入れることがあります。段差解消のバリアフリーの観点だけでは、単に最低限の斜面を計画する面白味のないデザインになってしまいますが、積極的にスロープをデザインに組み込んだ建築が今までにない斬新な建築になることがあります。最近特に、バリアフリーの観点より誰にもやさしい建築が望まれるなかで、単にスロープをつくるのではなく、建築全体としてバリアフリーとデザインが上手く融合しより美しい建物が生まれてきているように思えます。
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そもそもスロープは建築的な縛りがある
スロープは建築基準法で勾配は8分の1を超えてはならないと規定されています。また、床面の仕上げは滑りにくい素材でつくられることが規定されています。ヒトや車椅子の通行が円滑に行われるよう、建築基準法で上記の規定が定められている他、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)では、更に建物の用途や規模に応じて、スロープの円滑な利用を促進する規定が定められています。
例えば、不特定多数の利用が考えられる庁舎や駅舎などの公共施設施設では、スロープの勾配は12分の1以上の緩勾配とし、スロープ幅の最低基準や、手摺の基準、スロープ床面の仕上げだけでなく、色の規定まで細かく規定されています。これら厳しい基準に適合した設計でなければ、建物自体の建築が法的に認められていませんので、不特定多数の利用が考えられる施設の場合は、必ずこのバリアフリーの観点でのスロープの設計が組み入れられることになります。
スロープを組み入れた美しい建築事例
こちらの事例は建築ではないですが、階段とスロープを上手く組み合わせ、スロープの存在を感じられないようなデザインになっています。
こちらの事例は、保育園施設ですがスロープの建築は一体としてデザインされ、子どもたちの好奇心を掻き立てるような施設特有の思想を表現した建築です。
こちらの事例は、富士山世界遺産センターですが、富士山を上る登山道をイメージしてつくられ、登山をしながら富士山の歴史などを学び、後世に受け繋いでいくことを目的として造られた建築です。特徴的な外観ですが、この逆さ富士の室内をらせん状に歩きながら展示ゾーンを巡り、壁面に投影された富士山にまつわる映像を見ながら全長193mのスロープを登ることで、空中を浮遊するような感覚で富士登山を疑似体験することができ建物となっています。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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