自然界には、枝葉が風にそよぐ音、雨の音、海のさざ波、木漏れ日など不規則に変化する音や光景が多くみられ、それらはヒトにとって癒しの効果があると言われています。この不規則に変化するゆらぎは、建築素材の中でも見ることができ、なぜこの空間は落ち着くのか、なぜこの素材は経年を重ねるごとに美しさが増してみえるのか、などゆらぎが空間にいい影響を及ぼすことが分かってきました。
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自然界のゆらぎ
自然界に存在するゆらぎが発見されたのは、約80年ほど前と言われています。ゆらぎは一定に見えても、大小は異なるけれど不規則に変化しています。このゆらぎが大きいと意外性や突発性が高く、人は不安になります。逆にゆらぎが小さすぎると、安心ですが単調で変化がないので飽きてきます。
ゆらぎは、規則性と突発性、予測性と逸脱性が適度に組み合わさったもので、心地のよい空間と情報を与え、ヒトの心を落ち着かせるといわれています。このヒトの心を落ち着かせる心地よいゆらぎは自然界には多くあり、山や海などの大自然の場に身をおくと誰もが心を落ち着かせることができるのです。
建築素材で感じるゆらぎ
建築空間を自然界と繋げる役割をもつ借景窓や中庭。これらは直接的に自然界のゆらぎを建築空間のなかで感じることができます。
今は研究がすすめられ、ゆらぎがヒトの心にいい影響を与えることが分かってきていますが、ヒトはこのゆらぎを感覚的に心地よいと昔から気付いていたのかもしれません。自然のゆらぎをもった最もよく使われる建築材としては、木があります。木の年輪は不規則に変化し、色彩も一定ではなく不規則に変化しています。また、木は経年によっても変化していき徐々に自然の状態に近づいていくことから、木の空間に包まれるとヒトは居心地がよいと感じることができます。
コンクリート打放しについても、自然界のゆらぎに近い感覚があります。コンクリートは人工的なものではありますが、コンクリートを打設する季節や温度など自然の環境を大きく受けて表面仕上がりに反映されます。この自然の環境の影響をうけて出来上がるコンクリート打放しの表情は、均一で一定ではなく不規則に濃淡や凹凸形状の密集度合に変化があります。
木目風クロスやコンクリート打放し風のプリントなど、最近では見た目は殆どわからないくらい精度高く再現できる技術が発達してきていますが、壁一面や天井一面にその精度高く作られたプリントを貼っても、それほど居心地よいとはなりません。それは、精度が高すぎてゆらぎが小さいからだと考えられます。このゆらぎに対する研究開発が進められていますので、再現できる技術が近い将来にできるかもしれません。
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one archi
現在の主な作業
一級建築士試験に一発合格し、組織設計事務所にて主に学校、公民館、道の駅、発電所等の幅広い用途の公共建築物の設計を行なっている。
自己紹介
芸術学部建築学科を卒業後、ハウスメーカーメーカーにて住宅の設計販売に携わる。一級建築士事務所開設を夢に、ハウスメーカーを退職し資格学校へ通うが、そこで現職場の先輩にスカウトされ組織設計事務所に所属する事になる。一級建築士の他に、インテリアプランナー、建築積算士、casbee評価員の有資格者である。2020年、実務経験と建築知識を活かして建築系のWEBライターとして始動。
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